【テーマ】労災とは?~建設現場の安全と信頼を守るために~
担当:工事部 鈴木
実施日:2025年7月25日(金) ※7月度協議会
こんにちは。
今回は建設業に携わる者として、遠いようで案外身近な「労災」について、そして絶対に見過ごしてはいけない「労災隠し」についてお話しします。
「労災」と聞くと、「うちはそんな大きな事故は起きていないから関係ない」と感じる方もいるかもしれません。しかし実は、ちょっとしたケガや報告漏れが、重大な問題へとつながるケースもあるのです。

【1】労災とは?
労災とは、
「労働災害」の略で、業務中や通勤中に起きたケガや病気を指します。
建設業のような現場作業では、どうしてもリスクが伴います。
そのため、万が一の際にはしっかりと労災として報告・対応することが法律で義務づけられています。
【2】「労災隠し」とは何か?
「労災隠し」とは、
本来報告すべき労災を会社や上司の判断で報告しないことをいいます。
例えば、こんなケースがあります。
・作業員が骨折して病院に行ったが、「通勤中のケガ」として処理された。
・手を切って出血したが、「絆創膏で大丈夫」と判断されて報告されなかった。
・作業中の転倒を本人の不注意として処理し、労災申請がされなかった。
これらはすべて労災隠しに該当する可能性があります。
【3】労災隠しをするとどうなる?
労災を隠した場合、企業や担当者は法律違反として処罰されることがあります。
実際に以下のような事例があります。
事例①:骨折を「通勤中」と虚偽報告
工事現場での作業中に起きた骨折事故を、企業が「通勤中のケガ」として処理。結果として労災隠しが発覚し、会社と経営者が書類送検されました。
事例②:病院に行かせず、報告もせず
重機の操作中に起きた事故で、作業員が明らかにケガをしているのに、病院にも行かせず、会社としても労基署に報告しなかったケース。
こちらも後に発覚し、企業は重大な社会的信用を失いました。
【4】労災を正しく報告することの意味
「労災を出すと評価が下がる」「現場が悪く見られる」という声もあるかもしれません。
しかし、本当の意味で大切なのは「人命」と「信頼」です。
正しく報告することで
・同様の事故を防止する手立てが講じられる。
・作業員の治療や補償が適切に行われる。
・組織として社会的信頼を得る。
という、当たり前でありながら重要な利益があります。
【5】安全文化の根づいた職場づくりを
労災はゼロが理想ですが、ゼロにするには「起きたことを隠さず向き合う姿勢」が必要です。
「隠す文化」ではなく「改善する文化」をつくること。
現場で働く一人ひとりが、安心して働ける環境をつくるために、私たち一人ひとりが責任を持って労災に向き合う必要があります。
しかし、まずは労災を起こさぬようにすることです。
危険の芽を摘み、暑い夏も安全第一で頑張っていきましょう。
明日からもご安全に!

工事部:鈴木






