【テーマ】エポキシ樹脂の特性と危険性と取り扱い方

担当:工事部 成實
実施日:2025年7月2日(水) ※6月度協議会

こんにちは!
今回のテーマは「エポキシ樹脂の特性と危険性、安全な取り扱い方」についてです。
現場で日常的に使用する材料だからこそ、正しい知識が必要です!

【1】エポキシ樹脂とは(概要)

●エポキシ樹脂とは
 エンジニアリングプラスチックの1種。
 加熱によって化学反応を起こして固化するタイプの樹脂。

●主な構成成分
 大きく2つの成分で構成されている。
 1.エポキシ樹脂:粘り気のある液体。(主剤)
 ※これ単体では硬化しない
 2.硬化剤:主剤と混ぜることで化学反応を起こし、固まる。

●主な用途
 建築、土木、電気絶縁、接着剤、塗料など

▼当社で主に使用しているエポキシ樹脂

【2】エポキシ樹脂の特性

●エポキシ樹脂の特性(メリット)

●エポキシ樹脂の特性(デメリット/リスク)

【3】エポキシ樹脂の危険性

• 健康被害
• 皮膚障害(かぶれ・アレルギー性接触皮膚炎)
• 吸入リスク(刺激臭・頭痛・めまい)
• 眼や粘膜への刺激
• 火災・化学反応
• 一部成分が可燃性
• 混合比率を誤ると発熱や発火のリスク

【4】事故事例の共有

■ 事例1:防水塗装作業中の急性中毒による死亡事故

 防水塗装塗布作業中に発生。
 洗剤工場新築工事現場にて、1階排水貯留槽ピット内を1人で
 防水塗装塗布作業を行う予定であった作業者(防水工)が、
 当該作業日の2日後にピット内で倒れ死亡しているのを発見された。
 当該防水塗料(エポキシ樹脂塗料)は、有機溶剤の含有重量が5%以下の塗料であった。

<原因>
 ・ピット内単独作業
 ・防毒マスクの未着装
 ・送風機の未設置
 ・作業終了後の点呼不十分

■ 事例2:接触皮膚炎

 下水道マンホール補修工事において、
 エポキシ樹脂剤を練り、別の作業員に渡した。
 作業中は問題なく作業していたが、後日手が赤く腫れ上がった。

<原因>
 ・適正な保護具の未着装
 ・樹脂の危険性の認識の甘さ

【5】安全な取り扱い方

●作業前の準備
 SDS(安全データシート)の確認
 適切な作業環境の確保
 個人保護具(PPE)
 ゴム手袋・長袖・保護メガネ・防毒マスク

●作業中の注意点
 指定された比率で混合(正しい使い方を理解する)
 素手で触れない・衣類に付着させない
 作業後の洗浄(石鹸で手洗い)

●保管、廃棄方法
 密閉保管
 直射日光NG
 子どもの手の届かない場所での保管
 廃棄は産業廃棄物扱い(中和処理の必要性)

正しい使い方を理解していないと・・・
エポキシ樹脂の未硬化による施工不良が発生してしまう!

【6】作業現場での実践ポイント

● 安全ルールの厳守、周知の徹底
● 毎日のKY(危険予知)でエポキシの扱いを明記
● 「皮膚につけない」「吸い込まない」「ルールを守る」
● 使用後の工具や手の速やかな洗浄
● 換気の徹底
● 保護具(PPE)の正しい使用

【7】まとめ

エポキシ樹脂は便利で強力な材料ですが、取り扱いを誤ると健康被害や事故につながります。
正しい知識とルールの徹底・安全意識をもって作業にあたることが、職場全体の安全と品質確保につながります。

明日からもご安全に!



工事部:成實